チャリングクロス街84番地

「チャリングクロス街84番地」

という本があります。

へレーン・ハンフ著 江藤淳訳で、本を愛する人のための本という副題がついてます。

私が持っているのは、1980年に講談社から発行された単行本です。

原著は、1970年に発売され、ベストセラーになりました。

ニューヨークに住む、貧乏な売り出し中の作家、へレーンと、イギリス、ロンドンのチャリング・クロスの古書店の代表者との往復書簡集です。

架空のお話ではなく、ほんとに、へレーン・ハンフさんと「マークス社」のフランク・ドエルさんの手紙なんです。

安価で良質の古書を求めるへレーンさんの機知に富んだ手紙と、ロイドさんの誠実な応対ぶりが読んでいて胸を打ちます。

この手紙のやり取りは、第2次大戦直後の1949年に始まり、1968年に、フランクさんの突然の死で幕を閉じます。

フランクさんの死後、へレーンさんが出版した二人の書簡集は、ベストセラーになりました。

後日談も出ています。

お芝居や、映画にもなりました。

映画は、日本では、公開されていません。

作者で主人公のへレーン・ハンフは、アン・バンクロフト、

ロイドさんは、アンソニー・ホプキンスが演じています。

DVDは、手に入ります。

 

私は、このDVDを友人からプレゼントされて観ました。

その感想などを、友への手紙として軽く書いてみます。

お読みいただけると、うれしいです。

友への手紙(チャリング・クロス街84番地)

 

 ○○○さま

先日は、遠いところを、わざわざ訪ねて来てきださって、どうもありがとうございました。

楽しいひとときでした。

SNSをスマホでログインできるようにもしてくださって、とてもうれしかったです。

病院に帰ってからのNET事情が、少し安心になります。

 

「チャリング・クロス街84番地」のDVDのプレゼントも、

もちろん、シュトレーンも、とてもうれしかったです。

 

○○○さんのデモCDは、あれから何度も聴きました。

出だしのピアニストの方のタッチの力強さ、元シャンソン歌手らしい○○○さんの歌い出し、なにかが始まるな、と思わせる冒頭部でした。

 

ただ、ところどころ、歌詞がよく聴き取れないところがありました。

また、高音部がよく出ていないところも・・・

 

でも、○○○さんが、まだ、よく練習していない、とおっしゃっていたので、練習なされば、クリアできるのだと思います。

目新しい歌詞ですし、○○○さんの、良き新曲となりますように。

 

「チャリング・クロス街84番地」のDVD、とてもよかったです。

冒頭部、経済的な事情で、なかなかロンドンに来ることができず、やっと来ることのできたヒロイン、ヘレーネ(アン・バンクロフト)が、車の窓から、憧れ続けたロンドンの名所を眺めるシーンでは、ヒロインの胸の高まりが聴こえてくるような、そして、若き日の私自身の、ロンドンへの憧れを思い出すような気がしました。

 

フランク(アンソニー・ホプキンス)の顔だけの演技は、素晴らしいです。

シャンパンの泡のように才気がはじけるへレーンの手紙に強く魅かれながらも、フランクさんは、誠実な妻帯者です。

ヘレーネへの想いをこめて、彼女のことを思い浮かべる。

一度も逢うことのなかった二人です。

 

外国の俳優さんの朗読って、あまり聴いたことがありませんが、ホプキンスのさりげない小声での朗読もいいですね。

日本の昔のTVドラマ「日本の面影」で、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)を演じた、ジョージ・チャキリスが、ハーンの原作の一部を朗読しましたが、あれも、とてもよかったです。

 

DVDの最後で、原作にはないシーンですが、バンクロフトが、閉店した「マークス古書店」の中に入り、今は亡きホプキンスに「フランク、来たわよ!」と呼びかけるところ、明るいエンディングなのですが、胸に迫りました。

親しい人を亡くしたあと、誰もいなくなった部屋に「こんにちは!」とわざと明るく呼びかけて入って行った時の、なんとも空しいような、哀しいような自分の気持ちを思い出したからです。

 

よいDVDを観せていただいて、ありがとうございました。

 

これからも、よいお仕事をなさってください。

コロナがおさまって、またお逢いできますように。

 

乱筆・乱文にて。

12月19日  けいこ

 

 

 

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