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            ミステリと私

                                  

このところ、仕事での読書に追われ、ミステリ関係の読書からは遠ざかっています。
 準備に時間もお金もかかる割には・・・という仕事なので大変です。
 でも、今回は女性会員特集なので、何かを書きたいと思います。
 そこで、昔、読んだ物やここ数年間に読んだミステリをテーマにこういうエッセイを将来、
 書きたいな、というアイデア集のような文章を書いてみました。


トライフル    

  子供の頃、初めて読んだアガサ・クリスティーに“トライフル”という食べ物が出てきました。
これは一体、どういう食べ物だろうと、ずっと気になっていたのですが、
長じてから、イギリスに旅をした際、めでたく、憧れの“トライフル”に対面し、
味わうことが出来ました。うっとりするほどおいしく思えました。
生クリームの中にナッツやスポンジケーキ、それにお酒も入った口当たりのいいお菓子です。
イギリスは、水もミルクも日本と違うせいでしょうね、ミルクを使ったお菓子がとてもおいしいです。

青い十字架    

  これも子供の頃、熱中した「ブラウン神父」。フランボウと神父が星降る夜のハムステッド・
ヒースで対話する場面。憧れましたねえ。後年イギリスに旅行した際、ハムステッド・ヒースでは
女の人の一人歩きは危険だと先輩に言われて結局行きませんでしたけれど。
「ブラウン神父」って実に色彩が綺麗ですね。フランボウが引退して住んでいるスペインの城を
神父が訪ねて行くシーンなど、心に残る美しいシーンが一杯あります。
空の描写がとくにいいです。

ヨーロッパの地名 

  これも子供の頃ですが、日本の本よりも翻訳物が好きで、良く読んでいました。
そして、ヨーロッパの地名に憧れました。シャーロック・ホームズに出てくるイギリスの地名も
好きでしたが、ルパン物などに出てくるフランスの地名がとくに好きでした。今も好きですよ。
エトルタ、ノアン、オーベルジュなど等。それにこれはイタリアですが、トスカーナという地名も
素敵です。人名もいいです。オルタンス、それにラウールなんかもね。

甘く濃い紅茶と温かいお風呂

 「シャーロック・ホームズの愛弟子」シリーズが好きです。とくに「バスカビルの謎」がいいです。財産があって、好きな学問に打ち込んでいて、素晴らしい人生のパートナーがいてと、
理想的な人生を送っている“メアリ・ラッセル”。武術の心得もあり、自分で自分の身を守れます。
羨ましいけれど安心して読めます。「バスカビルの謎」でも、ホームズに助けてもらいながら、
大活躍。じめじめとした雨や霧の立ち込めるダートムアで、泥だらけになったり、
馬から振り落とされたり、ひどい風邪をひいて、一人、インに泊り込んだり・・・。
でも、辛い目をみたあとで、ベアリング・グールドの屋敷に戻ってくると、家政婦さんが
おいしい紅茶を淹れ、いろいろな温かい食べ物を作って待っていてくれるのです。
お風呂にも入れます。甘く濃い紅茶と温かいお風呂は、
イギリス人の最高のリフレッシュの手段でしょう。このくつろぎがあるから、
“愛弟子シリーズ”が好きなのです。
 

 
 ☆この文章はROMRevisit Old Mysteries誌)122号に書いたものです。