イギリス、イギリス (1)子供の頃、「小公子」だったのではないかと思うが、イギリスを舞台にした児童文学を読み、イギリスに憧れるようになった。
その後、イギリスなどの外国の児童文学やミステリを読んで、ますますイギリスに憧れた。
私のようなパターンでイギリス好きになった方は多いと思う。
子供時代や、学生時代は、まだ、自由に外国に行ける状況ではなかったので、私のイギリス熱は、ますます燃え盛った。
とうとう、大学を卒業して、数年勤めたあと、ヨーロッパツアーに参加することにした。
ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランスを、2週間かけて回り、その後、イギリスはウェールズの首都、カーディフ郊外の街で、2週間のホームステイによる語学研修、
という日程だった。
小さな旅行会社の主催だ。
迷ったが、大陸を2週間、私の本命のイギリスを2週間というわりに、高くない。
勤め先は、正社員ではなかったので、休ませてくれるという。
チャンスだ、と思い、参加することにした。
ツアーに参加しているのは、若い女性が多かった。
自営業や、フリーで働いている人たちで、当時は、正社員として働かない人も多かった。
旅立ちの日、ギリシアで戦争が始まった。
飛行機の足元がスースーするが、旅行会社の人達は、出発を決めた。
ギリシャで降りず、ローマへ直行するという。
南回りだった。
香港やニューデリーをまわり、ローマまで22時間かかった。
香港では、空港内の窓から、街の夜景を眺めた。
ニューデリーでは、サリー姿の女性検査員にボディチェックを受けたが、股間までチェックされたのには驚いた。
機内の加湿が、当時は、まだ充分ではなく、鼻風邪を引いたような気分になった。
(この症状は、到着したら、治った)。
いろいろな空港で、降りて、空港内を見られるのはいいが、途中下車が多いので、なにしろ疲れた。
ローマの空港で、ようやく地上に降り立ったが、初めての海外旅行で、緊張しているため、22時間ほとんど寝ていない睡眠不足のせいもあり、体が、まるで船に乗ったあとのように、ぐらぐら揺れていた。