祖父母の写真


7月に87才で逝った母が、生前、寝室の箪笥の上に置いて、朝夕眺めていた写真があります。
祖父と祖母が結婚した時の記念写真のようです。

海軍の軍人だった祖父は、軍服姿ですが、祖母は、なぜか、花嫁衣裳ではありません。
その理由については、分かりません。
母に聞いておけばよかったと思います。

写真の祖母は、本当に、初々しくて可憐です。
もしかすると、まだ十代だったのかもしれません。
祖父も、鼻下にひげを蓄えてはいますが、まだ若かったのではないでしょうか。

母が入院して、ほぼ三ヶ月経ったころ、私は、このセピア色の写真のコピーをとり、病院に持って行き、母のベッドの横の壁に貼りました。

祖母は、大変、看病が上手な人で、祖母が亡くなったあとも、母は、体具合が悪くなると、心の中で、「かあさま」と手をあわせて祈った、と聞いていたからです。

けれど、壁に写真を貼ったその翌日、日付が変わってすぐに、母は旅立ってしまいました。

これは、きっと、祖父と祖母が、苦しんでいる母を見て、かわいそうに思い、天国に連れて行ったのではないかな?と思います。

残念ですが、私には、この素敵なカップルの記憶がありません。
祖父は、私が生まれるより前に、祖母は、私が赤ん坊の時に、亡くなったそうです。

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