グループホームでの「少年探偵団」

 月一度、家の近くのグループホームに朗読の指導ということで行っている。昨日は5度目。テキストは「少年探偵団」だ。前回までは、「杜子春」だった。

 まず最初に「少年探偵団」の歌を歌う。出だしを歌うと、大勢の方がついて歌ってくださった。楽しそうに。それから、「少年探偵団」の作者、江戸川乱歩と私のおじとのかかわりを少し話す。二人は若い頃、同僚だったことがある。

 次に私の模範朗読を数節。それから、皆さんにいっせいに声を出して読んでいただく。

 声を出して読む方は数人に過ぎない。耳の遠い方もあるし、みなさん、いろいろなご事情がおありなのだろう。お一人の女性が、声を出されるのがお好きらしく、よく通る大きな声で、いつも率先して読んでくださるので助かる。今回とくにお上手だった。このテキストが合うのだろう。それに随分上達された。

 朗読のあいまに、乱歩のことなどを少し話す。途中で、生徒さんの中から、また「少年探偵団」を歌おうというリクエストがあり、何度か一緒に歌った。皆さん、幸せな表情になる。私もうれしくなる。声を出さない方たちも、じっと聴き入ってくださっている。

 終わったあと、何人もの方が、「楽しかったです」とあいさつして部屋に帰っていかれた。このテキストは、もう少し続けてみようと思う。少年探偵団の歌も、一番しか覚えていなかったけれど、続きの歌詞を検索してみよう。次回は、印刷して持って行こうと思った。次には、「少年探偵団」にまつわる皆さんの思い出話なども聴いてみたい。当分は、このテキストでよさそうだけれど、そのあとは何にしたらいいだろう。

 スタッフの方たちのお手伝いのおかげもあり、今日の仕事はうまく行ったように思う。心地よい疲れを感じる。「いつもありがとうございます」の声に送られて、ホームを出た。

 *スタッフの方たちが「一瞬の輝きを」といわれます。みんな忘れてしまわれるのだから、とにかく今を楽しく、ということでしょう。「楽しかったです」といってくださる方たちも、お部屋に帰られるころには、すっかり忘れてしまわれるのだそうです。

 愉しませてあげなくちゃ、歌も思い出話も、脳の活性化につながり、ほんの少しでも、認知症の進行を遅らせられるかもしれません。大サービスです。全力投球です。

2016年6月23日 記

 

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