グループホームでの朗読サロン

 近くのグループホームへ、朗読の講師として行っています。月一回で、8回目になりました。なにも分からないまま、始めましたが、やっとコツがわかってきたように思います。

 朗読の合間に、生徒さんたち(入居されている方々や、デイサービスに来ている方々)に、昔の思い出や、得意なこと、お父様、お母様、それに伴侶やご自身がしてこられたお仕事、その他いろいろな経験を話していただくことです。

 まず、テキストの数節を、私が読みます。それから皆様いっせいに、同じところを、声に出して読んでいただき、そのあと、会話に入ります。

 また、テキストに出てくる歌も、一緒に歌います。

 これまでに取り上げたテキストです。

(1) 「夕焼けエッセー まとめて5年分」(産経新聞関西版 読者投稿欄 「夕焼けエッセー」の投稿作品)より

(2) 芥川龍之介 作「杜子春」

(3) 江戸川乱歩 作「少年探偵団」より

(4) 田辺聖子 作 「過ぎた小さなことども」

 とくに、「少年探偵団」は、大成功でした。

 少年探偵団のテーマを、みなさま、ほんとに幸せそうに歌ってくださいました。合間の思い出話もはずみました。

 田辺聖子さんのエッセーも、聖子さんの子どものころの思い出を書かれたもので、これも、皆様のお話を引き出すには、とてもいいテキストです。古賀政男作曲の「丘を越えて」という歌がでてきます。当時、流行っていたのでしょう。これも、皆さま、楽しまれました。

 お話していて、次に取り上げるテキストのヒントがひらめくこともあります。

 たとえば、東京大空襲を経験された方があるそうですので、山本周五郎の「柳橋物語」は、どうかなと思いました。江戸の大火の様子が、迫真の描写で出てきますが、あれは、作者が「関東大震災」や「東京大空襲」の経験者に話を聴いて書いたものだそうです。

 また、お父様が仕立て屋さんでいらした方や、お母様がお裁縫の先生だった方がいらっしゃいます。そこで、山本ふさ子さんの「狐の振袖」はどうかなと思いました。

 主人公が仕立て屋のおばあさんです。それに、山本さんは、小金井にゆかりのある作家です。

 少しでも多くの方に、昔の思い出を話していただきたいものです。

 この授業は、教室というよりも、サロンといった方がいいかもしれません。生徒さんたちは、幸せそうです。私も幸せを感じています。これから、生徒さんたちの顔ぶれが変わったりすると、また違ってくるのでしょうけれど、今、幸せならば・・・と思ってしまいます。

 なんだか昔流行った歌の歌詞のようですね。

 

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