吹き寄せ

 

昨日の午後、ゆうパックで、お菓子が配達されてきました。

以前、生徒さんだった方からです。

綺麗な和の包装紙に包まれた、綺麗な缶に入っています。

開けてみて、心がぽっと和みました。

 

「富貴寄せ」という和菓子です。

明治から続く老舗のお菓子のようです。

小さな銀杏や紅葉の形をしたおせんべいや和三盆が、缶に一杯、あふれるほど・・・

 

ほんとは「吹き寄せ」というらしいのですが、縁起のいい当て字をしてるのでしょう。

 

送り主の方(女性)は、ずっと以前、私のある教室の生徒さんでした。

教室がなくなってからも、朗読会のお知らせを送ると、必ず来てくださいます。

今までのお礼の気持ちを込めて、彼女に、新作のCDを送りました。

そのお礼です。

お手紙も入っていました。

 

素敵なCDを、ありがとうございました。

先生の温かいお声に聞きほれています。

どうか、お元気で・・・

 

と書いてあります。

このような方がお一人でもいらっしゃると、20数年間、仕事を続けてきてよかった、と思います。

 

昔、ある教室で、テキストに使った増田れい子さんのエッセイに、「吹き寄せ」が出てくるお話があります。

目立たない仕事をこつこつと続けてきた、おせんべい屋さんのことが書いてある、いいエッセイです。

私は、子供のころに「吹き寄せ」を見、食べた記憶がありますが、その教室の方々は、知らないとおっしゃるので、ずいぶん歩き回って探しました。

その当時は見つかりませんでしたけれど、今、元生徒さんのおかげで、対面することができました。

 

世の中の隅に、吹き寄せられて集まった小さな葉っぱたち、なんだか私たち庶民のことを言っているみたいです。

 

 

 

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