少年探偵団の歌  

 私のおじ(故人)は、若い頃、江戸川乱歩(1894(明治27)年~1965(昭和40)年)と同僚だったそうです。乱歩の本名は平井太郎、勤め先は、鳥羽造船所電気部だったとのこと。

 学生のころ、退職して三鷹に住んでいたおじを訪ねて行くと、時々、乱歩の思い出を話してくれました。乱歩は、よく仕事をさぼって、寮だか下宿だかの部屋の押し入れにこもっていたそうです。おそらく書き物をしていたのでしょう。

 乱歩はのちに、大人向けの推理小説や「少年探偵団」を世に出し、高名な作家となります。

 私は、我が家の近くのグループホームに、時々、朗読ボランティアで行きますが、ある時、「少年探偵団」を読みました。朗読の合間に、乱歩とおじのエピソードを話したり、池袋で公開されている乱歩の旧邸を訪ねた話をすると、入居者の方たちは、とても喜ばれました。

そして、ドラマ「少年探偵団」のテーマのはじめの方を、ちょっと口ずさみますと、皆さん、一斉に、声を合わせて大合唱になりました。

 ぼ・ぼ・ぼくらは少年探偵団 勇気凛々 瑠璃(るり)の色

 望みに燃える 呼び声は 朝焼け空に こだまする 

 ぼ・ぼ・ぼくらは少年探偵団

 うれしそうに、幸せそうに歌われます。私も、一緒に歌い、幸せな気持ちになりました。

 「少年探偵団」は、1936(昭和11)年、雑誌「少年倶楽部」に連載され、のちにシリーズ化されました。戦後は、ラジオやTVドラマ、それに映画化もされ、子供たちに熱狂的に愛されました。「少年探偵団」の本は、今でも愛されているようです。

(上記は、小金井市の「月刊こうみんかん」という小冊子の、2018年10月号に掲載されたものです。)

 

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